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広角と望遠--距離感と距離Submitted by juan on 2006, February 16 - 11:05.
知人からの電話で、「距離感は距離で決まると言うのをどう説明したらいいか」と相談を受けたのだが、正直さっぱり意味がわからん。そりゃ距離感は距離で決まるだろう。はにゃーん? 話を聞いているうち、おぼろげに脈絡がわかってきた。漫画を描く時など、コマの中に人物や背景を「広角っぽく」とか「望遠ぎみに」などという表現で描く事はままある。「広角っぽく」という場合、画面内で遠くにある物をより小さく、近くにある物をより大きく描き、迫力を出す意図がある。パンチをくり出す時に拳をぐっと大きく描くのを考えればわかりやすいだろう。 しかし、実は前後の距離を強調したり弱めたりするのはカメラのレンズで言う焦点距離(つまり広角とか望遠といった種類)ではなく、被写体との距離そのものであって、焦点距離の違うレンズというものは、ただ同じように写る画面を拡大したり縮小したりしているだけだということである。 さて、焦点距離とはそもそも何かというと、平行光線が一点に収束する時のレンズ中心からその収束点(焦点)までの距離である。レンズの焦点にフィルムを置くと、無限遠方の被写体にピントが合うことになる。必然的にレンズの焦点距離によってレンズとフィルムの距離が変わる。焦点距離の短いレンズは、ピントをあわせるためにはフィルムに近い位置に置かねばならず、逆に焦点距離の長いレンズは遠くに置かなければならない。 フィルムの一方の端からレンズの中心を通る線を引き、もう一方の端からも同様の線を引いて、これを無限遠方まで延長すれば、ニ本の線に挟まれた間が写真に写る範囲になる。この線の作る角度を画角と言う(通常フィルムの「端」として、対角線の両端を使い、これを対角線画角という)。フィルムとレンズの距離が決まるという事は画角が決まるという事である。 同じ焦点距離、同じ位置関係でも、フィルムの大きさが変われば、画角は変化する。 図のように、フィルムの大きさを変えても、人物と木の画面上でのサイズ比は変わらない。つまり距離感は変化しないということだ。実は同じフィルムで焦点距離を変えると言う作業も、本質的にこれと同じ事、つまり写る範囲を変えている事なのだ。 この図を見れば、望遠レンズに写る映像全体を縮小した物が、広角レンズを使用した場合のフィルム面の中心に写るはずだという事がわかる。 以上から、物体間の奥行きが広がって見えたり詰まって見えたりする効果は画角によるものではないという結論が得られた。最初に示したように、物体間の奥行きが変化して見えるのは、画面上での物体の大きさが遠い物程小さく見える、その比率が変わって見えるということだ。フィルム面に写る被写体のサイズが、距離に比例して直線的に小さくなるなら、距離の圧縮、伸長効果は表れないだろう。確かめるには同じ大きさの物体がカメラから離れて行った時の、フィルム上での大きさを計算すれば良い。 フィルムと被写体の関係を簡単に示すと、下図のようになる。 θ1=θ2だから、当然 tanθ1 = tanθ2 。つまり d1/l1 = d2 / l2 である。 これから、フィルム上での大きさは d2 = ( l2 × d1 ) / l1 となる。 適当に、焦点距離を50mm、物体の実際の大きさを1mとして、距離を1mからどんどん離して行った結果をプロットしたグラフは以下のようになる。 このことから、被写体までの距離が遠くなると、フィルム上での大きさの変化率が小さくなって行くことがわかる。遠くの物体間の距離が詰まって見えるのはこういうわけである。 結論として、「距離感は距離によって決まる」という言葉は正しい事が明らかになった。 ( categories: )
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